狼な彼と赤ずきん
数時間後。
早朝の重苦しい曇天に響いた銃声を合図に、掛け声とともに騎士団が獣人たちの群れへ突進してきた。
今まではせいぜい十人ほどの騎士が森を見回っているだけだったが、今回はその二倍はいるようだ。
私は、窓の外をちらちらと見やりながら恐怖に震えていた。
意図せずとも、歯がかちかちと鳴ってしまう。
戦場なんて見るのは初めてだったからだ。
何が起きても、絶対にこの家から出るなと狼には再三言われてきた。
だから、私は戦況を見守ることしか出来ない。
私は、机に突っ伏して両手を組んだ。
――神様、お願い。何が起きているかはわからないけれど、どうか、どうかこの森の住人たちを守ってください。
農具を手にした住人たちが、剣を持った騎士たちに果敢に立ち向かっていく。
その先陣を切っているのは狼だ。
「行くぞ、お前ら!」
雄叫びとともに、騎士団の真ん中に彼は突っ込んでいった。
私は思わず目を覆う。
これでは、狼が死んでしまう――。
早朝の重苦しい曇天に響いた銃声を合図に、掛け声とともに騎士団が獣人たちの群れへ突進してきた。
今まではせいぜい十人ほどの騎士が森を見回っているだけだったが、今回はその二倍はいるようだ。
私は、窓の外をちらちらと見やりながら恐怖に震えていた。
意図せずとも、歯がかちかちと鳴ってしまう。
戦場なんて見るのは初めてだったからだ。
何が起きても、絶対にこの家から出るなと狼には再三言われてきた。
だから、私は戦況を見守ることしか出来ない。
私は、机に突っ伏して両手を組んだ。
――神様、お願い。何が起きているかはわからないけれど、どうか、どうかこの森の住人たちを守ってください。
農具を手にした住人たちが、剣を持った騎士たちに果敢に立ち向かっていく。
その先陣を切っているのは狼だ。
「行くぞ、お前ら!」
雄叫びとともに、騎士団の真ん中に彼は突っ込んでいった。
私は思わず目を覆う。
これでは、狼が死んでしまう――。