狼な彼と赤ずきん
――ふわふわ。ぽかぽか。


ここは、天国だろうか?


私は、重たいまぶたを持ち上げた。


視界が徐々に鮮明になり、見慣れない天井が目に入った。


どうやら私はベッドの中にいるようだ。


死んだわけではないらしいが、それではここはどこなのだろう。


混乱しながらもとりあえず体を起こすと、ズキンと体が痛んだ。


痛みに顔をしかめてふと腕を見ると、包帯が丁寧に巻かれている。



一体、誰が――?



「お、気がついたか」



突然声をかけられ、私はびくっとドアの方を振り返る。


そこには案の定というか予想通りというか、狼の姿があった。




「狼さん……っ」
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