背番号6、最後の青春
Prologue
「あーあ、悔しいけどお前には完敗だわ」
大きくため息をつきながら、親友の勇姿を思い出してそう呟く。
肝心の親友と言うのは、俺の隣に座り未だに体操座りをしていて、
顔を隠したまま相変わらず泣きやまないでいる。
「いや、気持ちは分かるけどそろそろ泣き止めよ」
ほら、と飲んでいたココアを差し出してやるも見事に無視。
その代わり、肩にかけてあった俺のタオルを掴んで鼻をかみ出す。
「ちょっ、おまっ、何やってくれてんだよ!」
怒鳴り慌てて立ち上がると、そいつも俺のタオル片手に立ち上がった。
「ふー、スッキリした。あ、真矢タオルサンキューな」
…サンキューなじゃねぇ!!
なんだよ、勝手に使いやがって。愛しの菜乃ちゃんがくれたタオルをよくも…っ。
そう言いたい気持ちをなんとか落ち着かせる。
「そうかよ、よかったな」
俺がそういうと、そいつは「おう」と返事をしてニカッと笑った。