背番号6、最後の青春
経由駅はかなりの人が降りるから、はぐれないように手を繫ぐことにした。
辛かったら引っ張るように言ったため、いつでも止まることはできる。
こんな状態だから、あまり人には会いたくなくて、なるべく人のいない車両に乗ろうとしたのだが。
「あ、真矢先輩に弘也先輩、おはようございます」
ナイスなタイミングで、菜乃ちゃんに声をかけられてしまった。
そういえば、菜乃ちゃんの最寄り駅ってここだったっけと思い出す。
「お、おはよう」
明らかに慌てた様子の弘也が、パッと手を離した。
菜乃ちゃんはニコッと笑って俺の隣に並ぶと、俺越しに弘也を笑いかけた。
「弘也先輩、足の調子は大丈夫ですか?一応湿布は持ってきたんですけど」
いりますか?と問いかける菜乃ちゃんに、弘也はホッとした様子でしか頷いた。
「うん、痛くなったらもらおうかな」