背番号6、最後の青春



ケラケラと笑いながら、そう言ってふいっと違う方を向いた弘也。

菜乃ちゃんはそれを見てもう何も聞かなかった。

どうしようもなく気まずい空気が俺ら3人を包んでいる。

結局3人で会場まで行ったが、それまでの間はほとんど会話がなかった。

仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。


相手はあまり対戦しないところだったが、確か前の公式戦で勝った覚えがある。

弘也が相手の7番を華麗に抜いていたことが思い出される。

相手のメンバーはあまり変わっておらず、あの時の7番もいた。

アップをして、ユニフォームを着替えてから試合が始まる。

6番は、なんだか着心地が悪かった。

落ち着かないままベンチに座り試合を見る。

…弘也の動きは前の練習試合と比べると一段と鈍っていて、思わず止めたくなった。

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