背番号6、最後の青春



「…弘也、お前、休めよ」

小さな声で、弘也にしか聞こえない声でそう言った。

はじめは首を横に振ろうとした弘也だったが、俺と目を合わせた瞬間、仕方なく、

「…そう、しようかな。
じゃあ、真矢に任せることにする」

そう言って足を引きずり顧問の愉多先生のところへと向かった。

軽く水分補給をして、俺も弘也の後を追った。

弘也は愉多先生にボソッと小さな声で報告していて、それを聞いた愉多先生はこちらをチラッと見た。

「真矢は、すぐに交代できるのか」

いきなりそう聞かれ、慌てて「はい!」と返事をする。

それから愉多先生が何かを弘也に伝えて、弘也が俺の肩を軽く叩いた。

「頼むよ」

そう言って笑う弘也に、俺はコクリと頷いてから、去ろうとした弘也の腕を掴んだ。

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