背番号6、最後の青春
いきなり引き止められた弘也は、不思議そうに首を傾げた。
「俺、弘也が抜けなかった7番を抜いてくるから。そしたら、全部教えろよ」
きっと、弘也は教えてくれないから。こちらから聞き出さないと教えてくれないだろうと思ったから。
だから、無理やりそんな約束をこぎつけることにした。
弘也はムッとしながらも、仕方ないというようにコクリと頷いた。
「あいつ、なかなかやるからな?
…じゃあ、見てるから」
弘也はそれだけ言うと、俺が座っていたベンチの方に腰掛けた。
ハーフタイムみたいなのが終わり、A戦のメンバーがポジションにつく。
「レフリー!」
始まる前に、審判にそう声をかけて、弘也と交代することを告げてフィールドに入る。
6番を背負って立つ俺と、13番を背負ってベンチに座る弘也。
いつもとは全く逆だ。
逆の、ポジション。