背番号6、最後の青春
心臓の音がやけにうるさい。6番を背負うことの責任感を感じる。
始まる間際、軽く目をつぶり、深呼吸をして気持ちを整える。
目をつぶった途端に、
_…真矢に俺の代わりを頼もうと思って。俺の、代理として走ってほしくて。
そう言った弘也が、まぶたの裏で苦笑いをする。
弘也の代理となるとここまで緊張するのかと思いながら、目を開けた。
…緊張するのは当たり前か。追いつけない奴の代わりとして走るんだから。
試合開始のホイッスルの音が、やけに引き伸ばされて聞こえてきた。
頭に、響く。
最初はこっちのボールだった。まず周りを目だけで見渡し、相手の左サイドバックが真ん中によってきてることを確認する。
案の定、フォワードでやりくりされたボールがこちらにおりてくる。
俺は、そのボールを受け取る直前にもう一度相手の左サイドバックの位置と、こちらの右サイドハーフの位置を確認してから、
右サイドと目を合わせて、走り出したそいつにパスを出した。