背番号6、最後の青春



吹かない風が、心地よい。走る俺の頬をかすめる風が気持ち良い。

そのうちに、巡り巡ってボールが俺のもとにきた。

すぐ近くにいた7番が駆け寄ってくる。弘也が出たときと同じ光景だ。

でも、実際に立ってみると景色が違う。うまく、避けれるか分からない。

左に行くふりをする。2回だからか引っかかったようなフリをする相手。

右に抜くのは難しい。うまくいくとは思えないけど、股抜けを狙うことにした。

ほとんど無理やり抜いたカタチで、運まかせな抜き方。

だけど、なんとか…抜けた!

相手を右に交わしボールをトップ下の陸空先輩にパスを出す。

抜けた達成感、湧き上がってくる自信に油断しないように言い聞かせる。

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