背番号6、最後の青春



で、とジッと弘也の目を見据えた。

「見ててくれたんだよな」

確認の念を押すと、弘也は覚えてないのか笑顔で「当たり前じゃん」と言う。

「抜いたところ、見ててくれたんだよな」

もう一度、念を押してみると、弘也はコクコクと頷いてから、ハッとした様子で俺を見た。

「…いや、もともとそろそろ話すつもりだったんだけど…。今日の帰りにどこか寄ってくか」

それから弘也はそう言ってニコッと笑った。菜乃ちゃんは不思議そうに首を傾げていた。

B戦をやったりと、途中昼ごはんの時間をはさみ何回か試合をやって解散をする。

もちろん、現地解散だった。

俺は弘也とどこに行くかなどを話しながら、みんなが帰っていくのを見送り、それから帰ろうとした時だった。

「…わたしもついていきます!」

俺と弘也の前に、菜乃ちゃんが立ちふさがった。

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