背番号6、最後の青春
俺と弘也は顔を見合わせてから、いやいやと首を振ったのだが、結局菜乃ちゃんを帰すことはできず。
近くの喫茶店に入り、俺の隣に菜乃ちゃん、目の前に弘也で座る。
何か注文してその品がきて、食べ始めても言ってくれる様子はなかった。
急かす気はないけれど、問わなければ言ってくれそうにない。
「なあ、弘也」
「ねえ、弘也先輩」
ほとんど同時だった。俺と菜乃ちゃんの声がかぶって、弘也が思わず吹き出した。
「ちょっ、お前ら笑わせるなよっ」
ゴホゴホと咳き込みながら、そんなにおかしいのか弘也はゲラゲラと笑う。
俺と菜乃ちゃんはパッと顔を合わせてから少しだけ微笑んで、弘也の方を向いた。
見事に話をそらされてしまったが、話を元に戻してやる。
「弘也、そろそろ話せよ」
無理やりこぎつけたとはいえ、約束は約束だ。
そろそろ、本当のことを話してもらいたい。