背番号6、最後の青春
「骨肉腫ってな、骨の癌なんだって。
筋肉痛みたいな痛みだから放っておかれることが多いらしくて、俺も放ってたから最近知った。
休んだ時あっただろ?1日目は近所の病院で招待状もらって、2日目に大きい病院に検査とかしにいったんだよ。
本当は入院するべきなんだろうけど、無理やり学校に来て部活に来てる。
…転移してる可能性が高いって言われてさ。
腕の痛みももしかしたらそれかもしれないと思ったら怖くて…。
怖いんだよ。病気なんて、風邪ですらここ最近はまともにかかったことなかったから…。
聞いた話では、足の方はかなり症状が悪化していて、高校のうちにサッカーを再びできるかどうかって言われて…。
だから、できなくなる前に、めいいっぱいサッカーをやりたかったんだ」
弘也の声が、大きくないはずなのに響いて痛い。
でもきっと、弘也はこんな痛みへでもないくらいの痛みを、背負ってきたのだろう。
神様は、なんて残酷なのだろうか。
走りたいと願う弘也の足を、走れない痛みが襲う病気にかからせてしまうなんて。