背番号6、最後の青春
顔を伏せて本格的に泣き始めてしまった弘也に、菜乃ちゃんは慌てた様子でわたわたとする。
だけど、俺と菜乃ちゃんでそろって、弘也の頭を優しくポンポンとなでた。
「やめろ、バカップル!」
わんわん泣く弘也がそう言っていたけれど、菜乃ちゃんと目を合わせて笑った。
…バカップル、か。なれたら嬉しいけど菜乃ちゃんはそんな気ないからな。
からかったお返しに、少しばかりグリグリとやると、痛そうにして顔を上げた。
「病人になんてことを!」
すっかり開き直りそんなことをぬかす弘也に、心底ホッとした。
良かった、いつもの弘也だ。
「そのわりにはかなり元気だな」
ケラケラと笑ってやると、「今は調子いいからな!」と胸を張る弘也。
「あーでも、泣いてスッキリしたら調子がいいな」