背番号6、最後の青春
ケロッとして笑う弘也に、そうかよとまた笑ってやる。
「…ありがとうな、2人とも。
でも、部活の奴らには秘密にしといてくれな」
相変わらず強がりなのか、お願いだという弘也に、仕方なく内緒にすることを約束した。
それから、3人そろって喫茶店を出て、適当なところに遊びにでも行く。
菜乃ちゃんの提案でゲームセンターに寄って、初めてプリクラというものを撮った。
弘也も初めてだったらしく、菜乃ちゃんの良いように撮られた気がする。
足の調子は相変わらずのため、帰るときは座れそうな場所を見つけて、そこに弘也を座らせた。
もう、弘也は座ることに文句は言わなかった。
俺たちにはこれくらいしかできないと知っていたからだろう。
支えると言っても、まだ未成年の子供の俺らには、こうして気を遣うことくらいしかできないと。
でも、それでも支えられていることに、弘也は嬉しそうに笑って、
「ありがとうな」
ふわふわとした消えてしまいそうな声でそう言うのだ。