背番号6、最後の青春



「花梨も菜乃ちゃんの手伝いに行けよ。空気入れ任せてきたからさ」

ほらほら、と椅子のない方の部庫の前で、ボールに空気を入れている菜乃ちゃんを指さして言う。

花梨は面倒くさそうな顔をしてから、

「仕方ないなあ。まあ、可愛い後輩のためだ、手伝ってやるとしよう」

なんて上から目線で言ってから、少し小走りで菜乃ちゃんの元に言った。

それを見て小さくため息をついた俺は、遠くの方で先輩がテントを持っているのを見つけ、手伝いにかけていった。


「幸人先輩、おはようございます。お手伝いします」

2つもテントを持っていたので、片方よこすように手を差し出すと、

「悪いな」

と言いながら1つテントを預けてくれた。

1つならそこまで重くもないが、さすがに2つは重かっただろう。

ちなみにこの幸人先輩は、弘也と同じポジション…ボランチである。

つまり、俺とも同じポジションである。

俺と弘也は全く同じポジションのため、いつも紅白戦でぶつかり勝負しているのだがなかなか勝てないでいる。

一応レギュラーではあるものの、弘也がいるから試合にはあまり出ない。

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