背番号6、最後の青春
幸人先輩はレギュラー入りは果たしておらず、いつも俺に負けてしまっている。
俺も弘也も先輩も、そしてここに後輩の陽が加わり、みんながみんなライバルである。
陽はまだ入部したばかりだし、一応ボランチだと言われているだけだが、結構うまいらしい。
気を抜かないようにしないと、1年後には負けているかもしれない。
「…にしても、ほんっとお前らうまいよな。練習とかいつも何やってんの?」
そういう幸人先輩に、いやいやと首を振った。
「俺や弘也はがんがん突っ込んでいくだけですって。先輩の正確にパスが出せるところ、本当に羨ましいです」
そう言って褒めると、幸人先輩は少しだけ嬉しそうな顔をして、「ありがとう」と笑った。
テントを自分たちのベンチの方まで持っていき、2人で組み立て始めた頃だった。
「おはよ。いやあ、起きたら8時だもん、焦った焦った」
ヘラっとしながら俺らに声をかけてくる人がいた。
聞き間違えるはずがない。
寝坊をする上にこんなお気楽な奴は1人だけだ。
…陸空先輩、俺らサッカー部のキャプテンだ。