背番号6、最後の青春
いきなりの質問に驚きつつも、
「ナンパですか…」
と冗談混じりに呟いた。
陸空先輩は俺の回答に、確かにと呟いておかしそうに笑っていた。
「…10時半には終わりますけど」
家から歩いて5分もかからないので、補導時間ギリギリまで働きたかったが、
さすがに補導時間である11時までは働かせてもらえなかった。
時間を告げると、陸空先輩はマジかとショックそうに言った。
「じゃあ、ここで渡しとくね」
陸空先輩はガサガサと鞄を漁ったあと、なにやら茶封筒を取り出して俺に手渡した。
「なんですか、これ…」
不思議に思い茶封筒を眺めながらそう尋ねる。
もらってすぐに中身を見ることはなんとなくできず、首を傾げて陸空先輩を見る。
へらっと笑った陸空先輩は、なんでもない顔で、
「俺から弘也に。
俺の小遣いじゃあ、全然足しになんないかもしれないけど」
そんなことを言った。
…小遣い…、ってことは中身は…。