背番号6、最後の青春



いきなりの質問に驚きつつも、

「ナンパですか…」

と冗談混じりに呟いた。

陸空先輩は俺の回答に、確かにと呟いておかしそうに笑っていた。

「…10時半には終わりますけど」

家から歩いて5分もかからないので、補導時間ギリギリまで働きたかったが、

さすがに補導時間である11時までは働かせてもらえなかった。

時間を告げると、陸空先輩はマジかとショックそうに言った。

「じゃあ、ここで渡しとくね」

陸空先輩はガサガサと鞄を漁ったあと、なにやら茶封筒を取り出して俺に手渡した。

「なんですか、これ…」

不思議に思い茶封筒を眺めながらそう尋ねる。

もらってすぐに中身を見ることはなんとなくできず、首を傾げて陸空先輩を見る。

へらっと笑った陸空先輩は、なんでもない顔で、

「俺から弘也に。

俺の小遣いじゃあ、全然足しになんないかもしれないけど」

そんなことを言った。

…小遣い…、ってことは中身は…。

< 138 / 283 >

この作品をシェア

pagetop