背番号6、最後の青春



「え、陸空先輩、自分で渡しに行ってくださいよ!」

思わず茶封筒を陸空先輩に押し返した。

入院費にと渡すお金くらいは、弘也に直接渡してもらいたいものだ。

そう思い茶封筒を押し返すが、逆に陸空先輩に押し付けられた。

「いいから。どうせ明日お見舞いに行くんだろ?」

陸空先輩に言われてドキッとする。

明日は日曜日だが、確かに弘也のお見舞に行くつもりである。

「…じゃあ、受け取っておきますね」

そう言って、茶封筒をとりあえず中の方にしまってきますと言ってしまってきた。

戻ってきた頃には陸空先輩はおらず、お礼を言い忘れたなと後悔する。

まあ、部活はいつでもあるし、言えるときに言うことにしよう。

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