背番号6、最後の青春



翌日、陸空先輩にもらったお金を大事に鞄にしまい、自転車で弘也の病院まで向かった。

ほぼ毎日通っているため、見舞いの品などはたまにしか持っていっていない。

最近は何も持っていってなかったし、たまには何か持っていこう。

途中でお店によって、クッキーでも買っていった。

弘也の病室は4人部屋だった。だけど入っているのは同じ年くらいの女の子が1人だけだ。

仲良くしてるのかと聞くと、あんまり話してくれないと嘆いていた。

「…で、地図なんか広げて、今日は何をやってるんだよ」

病室に入り椅子に座りながらそう尋ねると、突然手で口をふさがれた。

何してんだよと言いたくても声にならずにいると、弘也が唇に人差し指を持ってきて静かにするように指示をした。

仕方なく口をふさぎクッキーだけ手渡す。

嬉しそうにクッキーを受け取った弘也は、やっと口から手を離してくれる。

…息苦しかった…。

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