背番号6、最後の青春



「真矢、本当にありがとうな」

少しだけ声が涙声だったから、俺は弘也の顔を覗き込むのはやめた。

「いや、俺も弘也とここに来れてよかったよ」

俺はいつも弘也が泣いたときのように、なるべく優しい声でそう言った。

次に振り返った弘也は、満面の笑みを浮かべていて、来てよかったと心から思った。

まあ周りの人にはたくさん迷惑をかけただろうが。

もう少し車椅子を押していると、弘也はハッとしたような顔をして俺を見た。

「そういえば、携帯、大丈夫?
手紙に真矢の携帯番号書いちゃったんだけど」

…訂正、なぜ俺はこいつと病院を抜け出してきたんだよ馬鹿が。

「ふざけるなよお前!ちょっと確認するから待ってろ!」

慌てて弘也にそう怒鳴り携帯の電源をつける。

…着信21件…。大半は病院からだ。

ただ、その中に3件ほど弘也のお母さんからのが混じっていて、つい最近にかけてきたようなので折り返すことにした。

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