背番号6、最後の青春
いきなり電話をかけ始めた俺に、
「え、誰にかけてるの?病院?」
と首を傾げて問いかけてくる。
俺は弘也を睨みニヤリと笑ってから、
「お前の母さんだよ」
胸を張ってそう答えてやった。
瞬間に慌てだし「それだけは!」と俺の携帯を取り上げようとしてくるが、
車椅子に乗っている弘也に勝ち目なんかなく、あっさり弘也のお母さんに繋がった。
「あら、もしもし、真矢くん?」
うふふ、という笑い声でもつきそうな声。きっと電話の向こうで笑みを浮かべてるに違いない。
「ご無沙汰してます。弘也にかわりましょうか?」
そう問いかけると、弘也のお母さんは気が利くわねと言って笑いかけてきた。
「ほら弘也、お母さんがお前とかわれだとさ」
そう言って俺の携帯を手渡すと、すっかり弱くなりむこうを向いた弘也。
「かわれって、真矢が母さんに俺とかわろうかって聞いてたじゃねえかよ…」
ブツブツと文句を言いながらも、弘也は俺の携帯を受け取り、「もしもし」と答える。