背番号6、最後の青春
そんな、真矢…なんて言って泣くフリをする弘也に、思わず吹き出す。
何してるんだ、俺ら。
そう思ったけど、きっと馬鹿みたいなやり取りが愛おしくなったんだと思った。
馬鹿みたいなやり取りをしてふざけあった毎日が、懐かしくて愛おしくなっただけだ。
病室では、なかなか腹を抱えて大声で笑うことなんてできなかったから。
ほんの2週間だけど、俺にとってはされど2週間、だったんだな。
「また、サッカーやりてえな」
蒼にキラキラと頬を輝かせながら、弘也はそう言って笑顔を浮かべた。
「ボールもねえし、第一お前、走れるのかよ」
言っていのか迷ったが、はっきり言わないのも逆に彼を怒らせるだろうとそう言う。
すると、やはり怒ったのか頬を膨らませてそっぽを向いた。
それからふと立ち上がると、波打ち際を駆け始める。
「ちょ、お前何してんだよ」
遅かれいきなり走り出した弘也に突っ込むと、弘也は挑発をしてから手を振った。
「ほら見ろ、俺はまだ走れるだろ?」