背番号6、最後の青春



知らない間に大きく成長していた弘也は、小6にはもうレギュラー入りをしていた。

初めは、どうしてそんなにうまくなったのかと困惑していた。

でもしばらくして気が付いたのだ。

毎夜毎夜、部活のあとからも公園で1人弘也が練習していることに。

小学校でクラブチームに入っている人以外は部活後に練習をすることはあまりなかった。

部活で疲れ切っているのだから、帰って休みたいものだ。

それなのに弘也は、その日出来なかったことをもう一度やり直していた。

弘也の家に遊びに行った時、サッカーの参考書のようなものがたくさん並んでいた。

机に広げられたノートには、出来なかったことや出来なかった理由、改善点などが書かれていた。

それこそ汚い字だったけれど、弘也の一生懸命さが伝わった。

俺だって、そこまでしない。

いきなりうまくなった弘也を妬む者がいる中で、努力する素振りも見せずこいつは努力していた。


心底尊敬したことを、未だによく覚えている。

< 157 / 283 >

この作品をシェア

pagetop