背番号6、最後の青春
中学に上がり、そんな弘也の努力を見てしかいなかった俺は、あっという間に弘也に抜かれていた。
俺の真似をしてサッカーを始めたから、俺と同じポジションの弘也。
小学校の頃とは違うポジション、俺が弘也の活躍を眺めるだけ。
でも、納得していたから。
俺は弘也に追いつこうと努力を重ねることにした。
それでも、俺が努力する以上に弘也が努力をするものだから、なかなか追いつけやしなかった。
…だからこそ、あんなカタチで6番を背負うことを許せなかったんだ。
「あー、覚えてる覚えてる」
走り回ったあの日が思い浮かんで、あははと笑った。
楽しかったな、散々走り回って、弘也はすぐに息切れして。
「懐かしいなぁ、なあ、」
砂浜に寝転がった弘也が、コテンと顔をこちらに向ける。
「あの頃に、戻りてえな」
震えた声に、しばらくは何も言い返せなかった。
今までの努力がまた1からになってしまったとしても、弘也は心の底から戻りたいと思っているらしい。
俺は、戻るなら中1でも中2でも良かった。
ただ、戻りたいのは、俺も同じだ。