背番号6、最後の青春



ちらりとなんとなく水道の方に目をやると、1人で何やら作業をしている菜乃ちゃんを発見した。

他のマネージャー2人、花梨と瑠璃先輩は何をしているのかと探すと、日陰で駄弁っていた。

どうやら菜乃ちゃんに仕事を任せているようだ。

試合の始まる音がする。菜乃ちゃんは作業をしながらたまに手を止めて、試合の様子を観察していた。

花梨や瑠璃先輩は動こうとしない。


…注意するくらいは、いいだろう。

スクっと立ち上がり、隣に座っていた裕翔に適当な言い訳をして花梨たちのところに向かう。

花梨たちは俺が来たことに気付くと、「ほら来た」などと言ってニヤニヤと笑った。

「何がほら来た、だよ。瑠璃先輩も菜乃ちゃんに任せっきりにしないでくださいよ」

ムッとしながら話しかけると、瑠璃先輩は「そうなんだけどねえ」と言って花梨の方を見た。

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