背番号6、最後の青春
「弘也先輩のお母さんからわたしのところに来てないかって連絡が来たんです。
弘也先輩が病院から抜け出したって言われて、だから、ここに来てるんじゃないかと思ったんです」
やっぱりいたと菜乃ちゃんは胸を張ってみせて笑顔を浮かべた。
「ほら、弘也先輩、帰りは電車でもいいでしょう。わたしもついていきますから、帰りましょうか」
ムッとする弘也に笑いかけた菜乃ちゃんが、歩き出した俺の隣に並ぶ。
「えー、昼飯でも食べてから帰ろうぜ」
わがままを言い始める弘也。
思わず俺と菜乃ちゃんで顔を合わせて笑い出す。
「駅まで歩く道にいくつかお店がありましたし、寄っていきましょうか」
菜乃ちゃんが笑う。弘也も、思い切り笑顔を浮かべる。
結局、それからお昼ごはんを食べに行ってアイスを食べたりして、病院についた頃には午後3時を回っていた。