背番号6、最後の青春
菜乃ちゃんとはさよならをしてから病院に入る。
すぐに弘也のお母さんが駆け寄ってきて、病院だというのに大声で叱りつけた。
呆れ顔のお母さんを落ち着けてから病室に戻る。
もちろん俺も一緒に怒られた。
同室の花恋ちゃんは、寝ていたということでお咎めは免れたが、少し注意をされていた。
それからこっぴどく怒られたし、散々注意をされた。
でも、そのあと弘也の病室で話してたくさん笑った。
怒られてショックじゃないといえば嘘になるかもしれないけれど、全然平気だ。
目を瞑れば、海に描いてきた思い出が頭の中をよぎる。
「また、行きたいな」
窓の外を見ながら、弘也がふと呟いた。
「きっと行こうな」
小指を絡めて指切りをする。
海に置き去りにしてきた青春の、またいつかその上に上描きするために。
新しく、何度も上描きするために。
海に青春を、また新しく描くために。
…なあ、またきっと、行けるよな。