背番号6、最後の青春

1.




「真矢先輩、おはようございまーす」

コンビニの品出し中、ひょこっと顔をのぞき込むようにしながら菜乃ちゃんが声をかけてくる。

海に行ってから2週間ほど経ったのだが、相変わらず外に出るのも難しいらしい。

なんていったって要注意人物にされているのだから仕方がない。

菜乃ちゃんは、最近1人で登下校している俺を気遣ってか、朝になるといつも俺の家の近くまで迎えに来てくれる。

ばかりか、最近はバイトのときに遊びに来てくれたりもする。

…まあ、それはいいのだが。

「おはようございますって、もう夜の8時なんだけどなあ…」

ポリポリと頭をかきながら答えると、菜乃ちゃんはえへへと笑った。

菜乃ちゃんは俺の隣に並びながら、いろいろと商品を眺める。

…塩とか片栗粉とか見て、何が楽しいのやら、さっぱり分からん。

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