背番号6、最後の青春



どうやら花梨が何か言ったらしい。

花梨の方を見てジロっと睨むようにすると、花梨はあははと苦笑いした。

「ほら、真矢が菜乃ちゃん好きでしょ?だから絶対注意しに来るだろうから、うまいこと菜乃ちゃんを手伝わせようかなって…」

どうやら変に気を遣ってくれていたらしい。

余計なお世話だ。何も知らず勝手な理由で仕事を任された菜乃ちゃんが少し可哀想な気もする。

俺はそんな花梨に大きくため息をついた。

「言われなくても、手伝ってくるに決まってるだろ」

それだけ言うと、菜乃ちゃんのいる水道の方にかけていった。

菜乃ちゃんはどうやらタオルを冷やしているらしい。

ハーフタイムなどに選手に渡すやつである。

4月とはいえ、今日はよく晴れているし動くと暑い。だからタオルの用意をしてくれているのだろう。

「菜乃ちゃん、手伝うよ」

一生懸命1人で仕事をしている菜乃ちゃんにそう話しかけた。

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