背番号6、最後の青春
面倒くさい以上に、大変そうだ。確信もない噂にまいどまいど振り回されて。
ため息をつき、お茶を飲んでからリフティングでもしようとすると、ふと誰かに肩を掴まれた。
「なんか言い返さないの?散々言われてるみたいだけど」
俺の肩を掴んだのは陸空先輩だった。
悪口を言ってる女子の方をチラッと見やってから、俺の目を見て尋ねてくる。
「…いや、話の内容がよく聞こえませんし、どうせ嘘だし言わせとけばいいかなと」
そう言うと、陸空先輩はそっかと言いながら笑った。
「やっぱ嘘だよな。つーか、花梨ちゃんが言ってたけど、じゃれ合ってたら落ちたんだろ?」
確認がてら尋ねてくる陸空先輩に頷いてから、そういえばと思い出す。
「本当は弘也が躓いたんです。体勢を立て直すにも左足に力が入らなかったらしくて」
あの時から弘也が足を痛めてることを知っている陸空先輩になら言ってもいいだろうと本当のことを言う。
陸空先輩はそっかと思いだしてくれたようで、納得していた。