背番号6、最後の青春



陽に言われて首を傾げる。

「犯人探し…か。部員の人が信じてるならしようと思ったけど、信じてないならいいかな。苦じゃないから」

へらっとしてそう言うと、確かにそうかもしれないですけどと何か言いたげにしていた。

「まあ、真矢先輩が探さなくていいならいいんですけど…」

陽が何か言いかけた時、練習再開の合図がかかった。

慌ててそれぞれの練習場所に走っていった。

その日は結局、陽が言いかけていた何かを話してくれることはなかった。

俺も犯人探しは面倒だし大変だし、なにより部員が俺を信じてくれるので苦じゃないからしなかった。

そんなこんなで、1週間ほど経ったころだった。

聞かれれば否定していたのもあり、噂も1週間経てばほとんど消えかけていた。

そんなある日のことだった。

「真矢先輩、報告したいことがあるんですけど」

部活に行く直前、菜乃ちゃんにそう声をかけられた。

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