背番号6、最後の青春



「お、お気になさらず!ほら、試合見てないと弘也先輩に怒られちゃいますよ?」

心配そうにそう言い慌てる菜乃ちゃんに、クスッと笑った。

…確かに、ちゃんと試合を見ていないとあとから弘也に文句を言われそうだ。

正直言って、花梨が気を遣ってくれたのは分かるがありがた迷惑だったりする。

俺は試合を見ていたい。弘也の良いところは進んで盗まねえと。

だけど、別にこうして仕事をやりながらでも見れないことはないし、多分説得しても花梨たちはやらないだろう。

「まあ確かに弘也には文句言われそうだけど、試合ならここからでも見えるし手伝うよ。

それ、そんなに時間かからないでしょ?」

俺が尋ねると、菜乃ちゃんは「そうですけど!」と言い困った顔をした。

俺はニコリと笑うと、袖をまくって汲まれた水に手を浸し、中にある氷でタオルを冷やす。

中学の頃にやっているのを見たし、やったことがあるから慣れたものだ。


こんなに晴れた日に長袖なんて着てくるんじゃなかったと後悔する。

アップの時に結構動いたために、少し服が肌に貼り付いている。

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