背番号6、最後の青春
練習も終わり、ミーティングのあとに帰ろうとする幸人先輩を引き止める。
「あの、聞きたいことがあるんですけど」
服を掴んでそう言うと、幸人先輩は困ったように笑ってから、
「俺もちょうど、真矢に話したいことがあったんだ」
そう言って荷物の隣に腰掛けた。
みんなが帰っていく中、俺も幸人先輩の隣に腰をかける。
何も言わない幸人先輩に、それでと話を振ろうとした時だった。
「ごめん、俺が広めた」
俺を方を見ずに、幸人先輩は何か悲しそうな顔をしてそう言った。
「あの噂は俺が広めたんだ」
反省してると付け足して、幸人先輩は立ち上がり俺に頭を下げた。
…え、マジで幸人先輩が噂の出処だったの…?
驚きと戸惑いで、うまく何かを言えず、
「え、いや、いいんすけど、え、なんで?」
あたふたとしながら幸人先輩に尋ねる。