背番号6、最後の青春
幸人先輩は悲しそうな笑みを浮かべたあと、また俺の隣に腰掛けた。
「嫉妬、かな。弘也も真矢も後輩なのにすげえうまくて、俺だけ置いていかれてる感じが嫌だったんだ」
どこか遠くを見ながらそう言う幸人先輩に、俺はニコリと笑いかけた。
「それ、俺もありました。弘也に対してですけど、中学入ったばかりの頃ですかね」
記憶を辿らなくとも、いつも鮮明に思い出されるあの時の光景。
それは俺が弘也に負けた瞬間で、弘也に置いていかれたことを嫉妬したあの時。
「…ですけど、弘也の努力を目の当たりにして、納得しちゃったんです。
もう努力の段階で俺は弘也に置いていかれていた」
懐かしい思い出を蘇らせていると、ふと幸人先輩がそっかと呟いた。
「努力、か。…先輩なのに情けないな。大した努力もせずに人のことだけ妬んで」
幸人先輩は悲しそうに笑ったまま苦笑いをした。
俺はそんな幸人先輩の肩を組んでニッと笑いかける。
「幸人先輩だって、努力をしてなかったわけじゃないでしょ?
休みの時とか練習しましょう!
いやー、先輩と仲良く練習とかめっちゃ青春じゃないですか!」
そう訴えるように言うと、幸人先輩はやっと嬉しそうに笑ってくれた。