背番号6、最後の青春
「そうだな。先輩後輩の友情って、なんか青春だよな…」
笑う幸人先輩に、でしょでしょと言ってまた笑った。
「とりあえず、そろそろ帰るか」
荷物を持ち立ち上がった幸人先輩のあとを、俺も荷物を持って追う。
それから、駅へと向かう幸人先輩に思い切り笑顔で手を振って家に帰った。
…とにかく、一件落着、かな。
翌日、幸人先輩らしく朝に教室までわざわざ謝りに来た上に、相変わらずの女子たちに誤解だと説いた幸人先輩は、
お詫びの印にと可愛い袋に入った俺と弘也の分のクッキーをくれた。
「…え、もしかしてですけど、これ、幸人先輩の手作り…ですか?」
綺麗な形をしたクッキーを指差して問うと、幸人先輩は照れながら、
「まあ…、昔姉貴に教えてもらったから作ってみたんだ。弘也にも渡しといてな」
そう言ってさっさと自分の教室に帰っていってしまった。
自分の分のクッキーを1枚ばかし味見してみたが、味は言うまでもなくうまかった。
キリッとしていてカッコイイ幸人先輩の、意外な一面が見えた1日であった。