背番号6、最後の青春

2.




トントンと扉を叩いて遠慮なく部屋に入る。

「真矢、部活は?」

夕方に俺が来たことに驚きながら尋ねる弘也に、ニコリと笑いかける。

「今日は休み。あーあとこれ、昨日幸人先輩からもらったやつなんだけど」

そう言って幸人先輩からもらったクッキーをやると、弘也は受け取りながら目を輝かせた。

「すげえ、幸人先輩すげえな」

パクっと一口食べてから、さらに幸人先輩を賞賛する。

何個も口に運び美味しそうに咀嚼する弘也に、買ってきたジュースを渡す。

俺は幸せそうな笑顔を浮かべる弘也を見ながら、弘也と同じジュースを味わいながら飲む。

「幸人先輩、お姉さんがいるらしくて昔教えてもらったんだとよ」

そう言うと、弘也はなるほどという顔をしてまた食べ始めた。

「あ、じゃあ今度はカップケーキ作ってって言っといて!」

手をあげながら言う弘也に、はいはいと軽くあしらっておく。

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