背番号6、最後の青春



とりあえず弘也の元に駆け寄り、タクシーの人に車椅子の運転を変わってもらう。

弘也はまだ帰りの時間を伝えてないらしく、帰りの時間が分かったらいつどこに行けばいいか教えてほしいとのことである。

弘也いわく、教えなければ自由に学校の外にも行けるから伝えてないらしい。

「そういえば、どこと戦うんだっけ?」

のんきにあくびをしながら尋ねてくる弘也に、

「いつもの強豪校とだよ」

頭でも小突きながらそう答える。

弘也はまたかよなんて言ったあとに、がんばれよと俺に声をかけた。

だけど、俺は今回の試合には出ないつもりでいた。出ない方が弘也の側にいれるし。

ただ、一応ユニフォームには着替えておいた。

みんなが集合しているところに行き、話に夢中になっている愉多先生の肩を叩く。

「お、やっと来たか、待ちくたびれたぞ」

愉多先生は笑顔を浮かべながら、弘也の髪をわしゃわしゃとする。

「じゃあ、とりあえず弘也のことは真矢に任せるな」

そう付け足した愉多先生の言葉に、弘也はふと首を傾げた。

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