背番号6、最後の青春
ありがたく陽からビブスを受け取り、早速始まるというA戦に出る。
愉多先生は陽と代わることを意外にもあっさりと認めてくれた。
「…幸人先輩はでなくていいんですか?」
弘也と話していた幸人先輩に声をかけると、先輩はニコッと微笑んだあと、
「もうすぐ引退だし、俺より陽のが実力あるからな。それに、見てるだけでも楽しいし」
そう言ってまた弘也の髪をくしゃくしゃとした。
弘也はそんな幸人先輩にムスッとしたあと、俺の方を向いて笑みを浮かべた。
「頑張ってこいよ!来てよかったと思えるプレイを期待してるからな」
思い切りプレッシャーをかけてくる弘也に笑いかけると、俺は親指を立てた。
「当たり前だ、期待しとけよ!」
プレッシャーを振り切るように笑みを浮かべて声を上げて、それからフィールドへと立つ。
緊張よりもずっとずっと、わくわくとした気持ちの方が大きかった。
そうして、試合開始の音に俺は、強く地面を蹴って走り出した。
弘也の応援に、背中を押されながら。