背番号6、最後の青春



花恋ちゃんが帰ってくるまで、いつも通り適当な話をする。

そのうち病室の扉がノックもなしに開けられて、片手に2本のペットボトルを持った花恋ちゃんが入っていた。

「弘也くんの分も買ってきた…って、真矢さんだっけ?コンニチワ」

明らかに片言で挨拶をしてくる。多分仲良くない人とはあまり話したくない主義なのだろう。

花恋ちゃんは片方を弘也に押し付けると、俺の座ってる椅子の隣の椅子に腰掛けた。

多分、花恋ちゃんのベッド脇にあった椅子だろう。

弘也が花恋ちゃんに勉強を教えている様子を微笑ましく眺めていると、突如ノックの音がして扉が開いた。

「あ、先生」

弘也がぴたっと手を止めて、入ってきた人物の方を見る。

ベッド頭部にある担当医の名前とその人のつけてる名札を見比べて、その人が弘也の担当医であることを知った。

…30代後半…かな?思っていたよりも結構若い人だ。

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