背番号6、最後の青春



それはさておいて、弘也は先生と目を合わせると、不思議そうに首を傾げた。

「提案って、なんですか?」

半分勘付いているようだ。キラキラと目を輝かせながら、弘也が先生を見つめる。

先生はすこしだけ悲しそうな顔をしてから、ニコッと笑うと、

「外出、したくないかなって」

そう言ってどうだと弘也に問う。

もちろん外出したくてたまらない弘也は素直にその提案を承諾した。

どこへ行こうかとウキウキした表情を浮かべている。

「じゃあ、また行き先決まったら教えてな」

それだけ言うと、先生はそのまま部屋から出ていった。

弘也の方を見ると、嬉しそうにガッツポーズをする弘也が目に入った。

「やった、また外出だよ!なあ、そろそろ公式戦だよな?夏の大会!」

俺に尋ねてくる弘也に、大きく頷いた。

正直弘也だけでなく、俺もテンションが上がっていた。

確かちょうど2週間後の土曜日からだったはずだ。

抽選を昨日今日で済ませてくると愉多先生が言っていた。

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