背番号6、最後の青春



それから、それならどこに行こうかという話になった。

しかしもうそろそろ帰るという菜乃ちゃんを、弘也が送ってけと言うので帰ることとなった。

駅までになってしまうが、送れるなら送るべきだろうしな。

…行き先の変更の話し合いをしている中、菜乃ちゃんの俺を見つめる目が気になった。

不安げで心配そうな探るような目。菜乃ちゃんだけは何かに気付いているようで。

「真矢先輩」

いきなり立ち止まった菜乃ちゃんが、俺の方を向き真剣な目で見つめた。

貫くような鋭い目に、ドキッとした。菜乃ちゃんだけは、気付いているようだから。

「真矢先輩の家にお邪魔してもいいですか。ここでは話しにくいでしょうし」

ジッと見つめられて嘘をついて断るわけにもいかず、

「まあ、別にいいけど」

と言って菜乃ちゃんを家に招くことになった。

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