背番号6、最後の青春
家に招き入れて、俺の部屋に案内をする。
とりあえずお母さんが用意してくれたお茶と少しのお菓子を机に広げて、向かい合い座る。
「…真矢先輩って、分かりやすいですよね。すぐ顔に出るといいますか。
2週間後に外出できない理由、本当はもっと重たいことでしょう?」
はっきりとは言わないけれど、菜乃ちゃんは遠回しに余命のことを言い当てた。
もっと重たいこと。確かにそのとおりである。
顔に出やすいのかは知らないが、菜乃ちゃんは鋭いから分かってしまったのだろう。
「どのくらい、だったんですか?」
やはり、はっきりとは聞いてこなかった。
震えた声からして、さすがにはっきりとした言葉にはならなかったらしい。
遠回しの発言に、俺は苦笑いをしてみせた。
「…3週間、だって」
内緒だぞと付け足すと、菜乃ちゃんはもちろんですと微笑んだ。
悲しそうな、苦しそうな笑み。