背番号6、最後の青春



会話が見当たらずシンとしてしまった部屋の中、俺がふと口を開いた。

「信じられねえよな、あんなに元気なのにさあ、3週間だって…」

悪い夢でも見ているようだと笑うと、菜乃ちゃんはふと首を傾げた。

「…真矢先輩は、泣かないんですか?」

菜乃ちゃんの言葉に、思わず「え?」と聞き返す。

俺は、先生と話して泣いたとき以外は泣きそうになっても泣かないようにしていた。

弘也に知られちゃいけないんだから、もちろん泣いてはいけないから。

今は、菜乃ちゃんがいるから泣けるわけない。

そう思って、そりゃあ泣きそうになるのを、一生懸命堪えているのに。

「真矢先輩は泣くだろうと思って、来たんですけど」

菜乃ちゃんの顔を見ることができなかった。

菜乃ちゃんの顔を見たら、もう我慢できなくて泣いてしまいそうだ。

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