背番号6、最後の青春



泣かないように、泣かないように下を向いて堪えていた。

「泣かないよ。泣きたいのは弘也だ。だから、それに菜乃ちゃんの前だから泣けないよ」

それでも本当は、泣きたかったのだろう。

腹の底から込み上げてくる悲しい気持ちが、目に涙をためてこぼれ落ちようとする。

だけど菜乃ちゃんは机を避けて俺の隣に座ると、そっと優しく抱きしめた。

「それは、真矢先輩が男だからですか?だから、女のわたしの前では泣けないのですか?

…先輩、泣きたいなら泣いてもいいんですよ。男だろうと女だろうと、泣かない人間はいないんです。

悲しいなら、思う存分泣いてください。1人では悲しいだけでも、今はわたしがいますから」

宥めるように、菜乃ちゃんは優しく俺の背中をさすってくれた。

それが優しくて暖かくて、ギュッと菜乃ちゃんの服を掴み涙をこぼした。

一度こぼれ落ちるとたがが外れてしまって、止まることなく涙を落とす。

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