背番号6、最後の青春
2.
翌朝のことだった。
昨日は散々泣いてから、しっかり菜乃ちゃんを駅まで送ってあげた。
あれだけ泣かせてもらったものだから、起きたときの顔は酷かった。
だけれど、それ以上にスッキリして吹っ切れたから、菜乃ちゃんには感謝している。
「真矢先輩おはようございます。目、全然腫れてないですね」
そういう菜乃ちゃんこそ、まったく平然としていた。
「まあ、調べてなんとかしたからね」
すごいだろうとドヤ顔をすると、はいはいと軽く流されてしまった。
いつも通り並んで学校に向かう。
まるで付き合ってるみたいだなあなんて考えながら、ニヤけそうになるのを抑える。
「…今日は弘也先輩のところに行くんですか?」
サラッと話の流れを変えた菜乃ちゃんに、まあねと言って笑ってみせた。
「早く、他のお出かけ先を決めないとダメだからな」
俺の言葉に、菜乃ちゃんはなるほどと納得して、頑張ってくださいねと背中を押した。
何を頑張れというのか。
まあ、弘也の前で泣かないように頑張らないとならないが。