背番号6、最後の青春
顔を真っ赤にする花恋ちゃんの顔、嬉しそうにニヤける弘也の顔。
「実は花恋ちゃんに告白されたんだよ。勉強教え始めて俺も気になってはいてさ。
退院しても、会える距離なんだ。だから、付き合うことにした」
2人の幸せそうな顔がぐにゃりと、歪むような感じがした。
「嘘、マジで…?」
「おう!一足先にリア充にならせていただくぜ!」
大きな声で笑う弘也に合わせて、花恋ちゃんも幸せそうに笑う。
いいんだ、弘也が幸せなら俺にとってはそれでいいんだろう。
でも、そうしたら花恋ちゃんは?
もうすぐ去るとも知らずに付き合って、忘れずに生きていく花恋ちゃんは?
付き合わないよりもずっと悲しい思いをするだけじゃないのだろうか。
「私ジュースとお菓子買ってくるね。そうだ、荷物持ちに真矢くん?来てよ」
花恋ちゃんが俺を指名して病室から出ていく。
弘也に見送られて2人で病室を出て歩き出した。
…ちょうどいい。
教えるのは気が引けるけれど、何も知らないよりはいいのかもしれない。