背番号6、最後の青春



学校が近付いてくる。正門までの一直線の手前、俺はつい足を止めた。

「真矢?どうかした?」

心配そうに後ろを振り返ろうとする弘也の視線を前に向けて、頭を手でおさえる。

そうして、泣きそうな顔を見られないようにして、泣きそうな声をなんとか誤魔化して。

「弘也は覚えてる?入学式のこと」

前を向いたまま首を傾げる弘也。

俺は今でも鮮明に思い出す。入学式の日、確か弘也が寝坊して俺らはこの道を走っていた。

「遅刻寸前だからって弘也が慌ててさ、俺は余裕あるだろうって弘也のあとを追いかけてた。

そしたら弘也、この道でいきなり右に曲がるんだよ。向こうに正門があった気がするって。

この日ほど、弘也の直感がアテにならないと思った日はないよ」

結局着席時間には間に合わず、初日ということで大目に見てくれたが注目を浴びてしまった。

懐かしい、1年と3ヶ月前のこと。

どうしてか、1ヶ月前よりもずっと、1年前を遠くに感じている。

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