背番号6、最後の青春
いつからだろう、“日常”が“思い出”に変わってしまったのは。
知らない間に、知らない間に思い出に変わっていた。
中学校を卒業したときは、ハッキリとした区切りが日常を思い出に変えてくれた。
けれどこれは、いつの間にか、だ。
俺は思い出になんてしたくなかった。
でも、思い出にならざるを得なかった。思い出にせざるを得なかった。
「あー、覚えてる覚えてる。あとから真矢にこっぴどく怒られたもんなあ」
ははっと笑い飛ばした弘也に、そうだなと相槌を打ってまた歩き出した。
弘也と歩いてきた道を確かめるように、一歩一歩を踏みしめる。
ついに来てしまった正門で、一度だけ足を止めてからまた進む。
…嫌だなぁ、最後じゃなければいいのに。
だけど、先生の話を嘘だと否定し信じないほど、俺は非現実主義じゃない。