背番号6、最後の青春
グランドに出て、サッカー部の部員たちが見えてくる。
体操をして、そろそろ基礎練習といったところだろう。
下駄箱での道でガタガタと音を立てて車椅子を押していると、陸空先輩がこちらⅡ気が付いた。
「みんな!弘也が来たぞ!」
みんなに大声で弘也の到着を知らせる陸空先輩の背中は、本当に嬉しそうだった。
サッカー部が練習している場所の端っこで車椅子を止めると、練習をしていたみんなが一斉に弘也のもとにかけてきた。
「おー、おつかれさまー」
いつもと変わらない弘也が、へらっと笑いながら何気ない一言をこぼす。
それが、たまらなく嬉しいものだから、みんなは嬉しそうにそれぞれの返事を返す。
「久しぶりだなぁ」
「弘也、思ったよりも元気そうでなによりだよ」
「ほんとそれな!フラフラかと思って支える準備してたのにな」
わあわあと楽しそうに話す部員たちに、弘也はえへへと笑ってみせた。
「心配かけてごめんな。つーか、フラフラならそもそも外出できねえだろ!」
びしっと弘也が突っ込むと、支えると言ったやつがそれもそうだと声を上げて笑った。