背番号6、最後の青春
1.
夏休みが始まる。翌々日はいよいよ公式戦だ。
緊張とプレッシャーを感じながらの練習はいつもよりもずっと新鮮だ。
いつもは、心の中でほんの少しの油断があったから。
所詮、俺はスタメンじゃないからと、弘也の代わりではないからと。
だからずっと弘也に敵わなかったのかもしれない。
だけど今回は、確かに弘也の代わりだけれど俺が試合に出るから。
俺がみんなの想いを背負ってフィールドに立つから、こんなにも、緊張しているのだろう。
「あ、真矢、おつかれさま」
そう言った弘也にニコリと笑いかけてありがとうと言う。
いつものように練習後に、ちらっと顔を出すのだ。
「遅くにごめんな」
軽く謝ると、弘也はいいよいいよと言って笑っていた。
「明後日試合だもんな、見に行きたかったなあ」
期待してるぞと言う弘也に、見せたかったよと呟いた。
ただ、弘也には言ってないが相手は練習試合でよく戦う高校よりももっと強い強豪校だ。
その少しの期待が、ひどく重い。